月初に放送されたNHKあさイチ「子供のいない人生の生き方」を視聴しました。
私たち夫婦に子供はいません。
理由はいくつかありますが、何よりも私自身が子供を望まなかったからです。
私たち夫婦は再婚で、夫には前の奥様との間に子供がいます。
子供といってもすでに立派な社会人になって自分の家庭を築き、孫も生まれました。
だから間接的には私もおばあちゃんです。
正直に告白しますと、私は子供をほしいと思ったことが一度もありません。妊娠や流産、不妊治療などの経験もないまま、現在に至ります。
若い頃はそれなりに悩みましたよ? まだDINKsという言葉も一般的ではなかった時代です。
子供がほしい「普通」の家庭を望む相手から求婚されても応じられないほど、それは私にとって揺るぎない意志でした。
原因はたぶん、母から可愛がられなかった幼児体験に起因するものと思われます。
母親が子供に及ぼす影響は、時にその子の人生を左右するほど深刻です。
汚部屋で育った子は片付けられない大人になり、虐待されて育った子が、やがては虐待する親になる…必ずしもそうなるとは限らないでしょうが、そうなってしまう傾向にあるといえるのではないでしょうか。
痛ましい報道に接するたび、まるで呪いのようだと暗澹たる気持ちになります。
負の連鎖は続き、何世代にも渡って遺伝するのかもしれません。
幼い私を毛嫌いしていた母に、なぜそうしたのか聞いたのは、ほんの数年前のことです。母は自分もそうだったからと答えました。
東京で学生や会社勤めをしていれば、おのずと出会いはあります。
けれど今まで誰と交際しても、夫と結婚までしても、ついに「この人の子供を産みたい」と思うことのないまま、閉経を迎えようとしています。
だからといってそれを不幸だとは思わないし、私は自分の人生を肯定しています。
相手を好きになることと、相手の子供がほしいと思うことが、私にとってイコールではなかったという結果にすぎません。
あさイチの番組が「子供のいない人生」ではなく「子供のいない人生の生き方」というタイトルだったことにも違和感を覚えました。
たぶん番組が想定していたのは、子供がほしいけれど恵まれなかった人や、子供を産まなかったことに後悔や後ろめたさがある人が対象で、私のように産まない自由を選択した人への視点に欠けていたような気がします。
以前「女性は産む機械」と発言した政治家がいたり、最近は「子持ち様」論争が話題になったり、今なお既婚女性は子供を産んで当然という価値観は根強いようです。
ここまで書いてふと気付いてしまいました。私は子供がほしくない以上に、誰かの母親になりたくないのだと。うーん、我ながら闇が深い(笑)