住めば都

地方移住したアラフィフ主婦のひとりごと

コロナ下での家探し

世界中にまん延したコロナウイルス首都圏は大混乱に陥りました。
夫は業務の引継ぎができないまま自宅待機となり、私もインストラクターのパートを辞めました。
大きなターミナル駅近くに住んでいて、駅ビル内のスーパーは異様な雰囲気に包まれ、緊張を強いられながら買い物する日々。
行き交う人々で毎日ごった返していたコンコースが閑散としている光景は、かなりの衝撃でした。
マスクやうがい薬、トイレットペーパーを買うために、開店前のドラッグストアへ並んだことも、度々ありました(ほとんど空振りでしたが)

 

まさかこんな状況下で移住先を探すことになろうとは…。

しかし退職に係る諸手続きや、マンションの退去通知も済ませた以上、ここに留まることはできません。
依頼した不動産屋からはオンライン内見を勧められましたが、賃貸とはいえ、私たち夫婦にとっては新たな門出です。
旅行で観光地を訪れたことがあるだけの、親戚も知人もいない四国。
実際に物件を見て、周辺の環境もよくよく確かめてみないことには、契約なんてできません。

不要不急ではなく重要至急の用件です。感染予防に万全を期したうえ、緊急事態宣言のさなか、ガラガラの飛行機に乗って松山へ向かいました。

 

首都圏からやってきた私たちを、現地の不動産屋は暖かく迎えてくれましたが、終始ものすごいソーシャルディスタンスをとられました(笑)
担当スタッフの営業車が先導し、不動産屋が手配したハイヤーに私たちを乗せて、ピックアップした物件の内見ツアーに同行する、という厳戒態勢です。
一件ずつ鍵と窓(換気のため)を開けてもらい、私たち二人だけで内見に入り、担当スタッフは外で待機。

私たちが使うスリッパは、一件内見するごとに使い捨て。
感染を警戒して黙りこくっていたハイヤーの運転手さんは、車窓を開け放つようこちらから提案すると、小声でおしゃべりしてくれるようになりました。

 

今となっては笑い話ですが、コロナ対策が手探り状態だったあの当時、特定警戒区域から出てきた私たちをそのように扱ったことは充分に理解できますし、こちらの要望を叶えてくださって、とても感謝しております。

迷惑料のつもりでチップを渡そうとしたけれど、運転手さんは「これが仕事だから要らないよ」と笑って受け取りませんでした。