住めば都

地方移住したアラフィフ主婦のひとりごと

退職した夫は主夫である

夫が早期退職するにあたって、私はひとつ条件を課していました。
それは「夫も主体的に家事をする」こと。

実家の両親や身近な年金世代を見るにつけ、ダンナが仕事を定年退職しても、今までどおり奥さんだけが家事を担い続けている夫婦ばかりで、モヤッとしていました。
私の実父は民生委員やボランティアをやりまくって、定年後も家事を回避しています。
退職しても家庭に興味のない父に、母はすっかり愛想をつかしています。

夫が働いてくれている間は、子供もいないし(義父同居の暗黒時代は割愛)、家事全般はもちろん私の役目でした。
そして夫婦ともに無職となった今。
我が家の移住スタイルを鑑みると、実態は地方に転居しただけの隠居生活なので…妻は主婦、夫も主夫なのです。

夫もこれを了承し、
 ①掃除(居室、風呂、洗面、トイレ)と洗濯
 ②買い物、料理、皿洗い
どちらか好きなほうを選んでもらった結果、夫は①を担当することに。

ならばと洗剤の分量や掃除の仕方をひととおり教え、しばらく様子を見守っていましたが…予想どおり、すさまじい抵抗に遭いました(笑)
毎日の洗濯はほぼ洗濯機がやってくれますから嫌がらない。問題は掃除です。
夫の主張で、掃除は週1回しかやらないことに。私もそれは譲歩しました。
二人とも日中はフィットネスクラブにいるし、風呂もすませてくるので、ぎりぎり許容範囲かと。
最初の一か月は「嫌々掃除してやってる」感を全開に、ガチャガチャ、ジャバジャバ、近所迷惑なほどの騒音をたてながら有言実行していた夫。
けれどそれも長くは続きませんでした。
週1回が半月に1回になり、一か月に1回になり…。

痺れを切らした私が掃除を肩代わりするのを待っていたのでしょう。
しかし!私も折れませんでした。
ここで折れたら夫への不満を抱えたまま、移住生活を過ごす羽目になってしまいます。
リビングに綿ぼこりが舞おうと、風呂やトイレに黒カビが発生しようと、スルーし続けました。
(フィットネスクラブの定休日にだけ自宅の風呂を使用するのですが、さすがに気持ち悪くて、クルマで15分ほどの系列店へ風呂だけ入りに行っていました)

弁明をはさみますと、自室の掃除はもともと自分で行っていますし、洗濯機で洗いたくない素材の衣類は自分で手洗いしています。
キッチンも清潔を保っているつもりです。シンクは排水口の中まで毎日お手入れしています。

「ろくな稼ぎもないくせに」とか、
「誰のおかげで生活できてると思ってるんだ」とか。
結婚当初から夫のモラハラに晒されてきましたが、週1回の掃除さえこなせない夫へ「主婦なんて楽ばっかしてるって罵ってきた家事のほんの一部だよ」と諭した時の彼のはっとした顔を、今でもはっきり憶えています。

移住生活がはじまって半年ほど経過した頃でしょうか。
その日を境に、毎週金曜日、夫が自発的に掃除をするようになりました。